飲んだ記録

飲んだ日本酒の記録

このサイトの銘柄ページに書いてある香りや味わいの説明は、 日本酒度・酸度・精米歩合といった公開されているスペックから整理した推定です。私が全部を飲んだわけではありません。 7,900銘柄を一人で飲むのは不可能です。

このページだけが違います。ここに書いてあるのは、私が実際に飲んだ酒の記憶です。 現在17本。少ないですが、飲んでいないものを飲んだことにはできないので、 少しずつ増やしていきます。

味の感想は個人のものです。同じ酒でも、製造年度や保存状態、 合わせた料理、その日の体調で印象は変わります。 「こう感じた人がいた」という程度に読んでください。

青森

陸奥八仙

八戸酒造青森

八戸の蔵で飲みました。試飲が100円で、しかも数種類並んでいる。銘柄名だけ知っていて味を知らない状態だったので、こういう場はありがたいものです。

覚えているのは赤ラベルで、はっきりフルーティでした。日本酒の香りというより、果物に近い印象です。八戸まで行って飲んだという記憶の補正はあるかもしれませんが、それを差し引いても分かりやすくおいしい酒だったと思います。

100円で試せる意味は大きくて、四合瓶を買ってから好みでなかったと気づくより、先に一口飲めるほうがずっといい。蔵に行く機会があれば、まず試飲があるかを調べるようになりました。

陸奥八仙のスペックを見る →青森の日本酒一覧

岩手

旭扇

あさ開岩手

すいすい飲めてしまう酒でした。ひっかかりがなく、気づくと杯が進んでいる。

こう書くと褒めていないように読めるかもしれませんが、飲みやすさは技術だと思います。雑味が出ていれば必ずどこかで舌が止まる。止まらないというのは、そこが処理されているということです。

ただ、飲みやすい酒には注意も要ります。度数は普通の日本酒と変わらないので、水のように進むぶん量が読めなくなる。実際にそういう飲み方をしてしまう銘柄でした。

旭扇のスペックを見る →岩手の日本酒一覧

宮城

一ノ蔵

一ノ蔵宮城

私がいちばん多く飲んだ日本酒です。家族が宮城に単身赴任していて、帰省のたびに手元にありました。自分で選んだというより、生活の中に置かれていた酒です。

だからレビューが書きにくい。味の記憶が「その一回」ではなく「何度も飲んだ全体」になっています。逆に言えば、飽きなかったということでもある。突出した特徴で驚かせるタイプではなく、置いておける酒でした。

日本酒を選ぶとき、多くの人は「うまい一本」を探します。でも実際に消費するのは「また買う一本」です。私にとってそれが一ノ蔵でした。

一ノ蔵のスペックを見る →宮城の日本酒一覧

福島

飛露喜

廣木酒造福島

水のようにスイスイ入りました。

有名な銘柄なので身構えて飲んだのですが、拍子抜けするほど抵抗がない。香りで押してくるわけでも、旨みで主張するわけでもなく、ただ滑らかに通っていきます。

「淡麗」という言葉で説明される酒はたくさんありますが、薄いのと軽いのは別物です。飛露喜は薄くない。中身はあるのに引っかからない、という状態でした。これを狙って造れるのはすごいことだと思います。

飛露喜のスペックを見る →福島の日本酒一覧

栃木

鳳凰美田

小林酒造栃木

銘柄によって印象がかなり違いました。同じ蔵でもフルーティなものと辛口寄りのものがあり、「鳳凰美田はこういう酒」と一言でまとめられません。

これは蔵のラインナップが広いということで、選ぶ側からすると当たり外れではなく「どれを選ぶか」の話になります。名前で買うと想像と違うことがあるので、裏ラベルを見る習慣がついたきっかけの一つでした。

鳳凰美田のスペックを見る →栃木の日本酒一覧

東京

澤乃井

小澤酒造東京

味より先に、蔵が楽しかったという記憶があります。

奥多摩の川沿いで、見学して、その場で飲んで、風景ごと味わう。酒そのものの評価とは別の体験です。ただ、日本酒を好きになる入口としてはこれが強い。スペックの数字を眺めているだけでは、こうはなりません。

東京に蔵があること自体を知らない人も多いと思います。都内から電車で行けるので、日本酒に興味を持ち始めた人を連れて行くと喜ばれます。

澤乃井のスペックを見る →東京の日本酒一覧

新潟

ゆきのまゆ

苗場酒造新潟

酸がはっきりしていました。新潟の酒としては意外な部類だと思います。

当サイトの集計では、新潟の平均酸度は1.46で全国平均1.58よりかなり低い。新潟らしさは辛さより軽さにある、というのが数字の姿です。その県で酸を立てた酒に当たったので、印象に残りました。

産地のイメージは平均の話であって、個々の銘柄がそれに従う義務はありません。当たり前のことですが、実際に飲んで裏切られると腑に落ちます。

ゆきのまゆのスペックを見る →新潟の日本酒一覧

富山

羽根屋

富美菊酒造富山

ふるさと納税の返礼品で知りました。

こういう出会い方は馬鹿にできません。自分の好みで選んでいると、どうしても同じ方向の酒ばかりになる。返礼品は選択肢が限られているぶん、普段なら手に取らないものが届きます。

富山の酒を意識して買ったことはそれまでなかったので、県を一つ知るきっかけになりました。

羽根屋のスペックを見る →富山の日本酒一覧

岐阜

三千盛

三千盛岐阜

肉に合いました。

日本酒は魚と合わせるものという先入観がありましたが、辛口でキレのあるタイプは脂の強い料理にも耐えます。三千盛は昔から辛口で知られる蔵で、その性格がそのまま用途になっている。

味の濃さを揃えるという考え方が基本です。肉に対して甘くて香りの高い酒をぶつけると、たいてい酒のほうが負けます。

三千盛のスペックを見る →岐阜の日本酒一覧

醴泉

玉泉堂酒造岐阜

辛口です。梅酒のベースにも使われていると聞いて、なるほどと思いました。

梅酒に使う酒は、糖を足す前提なので甘くないほうがいい。辛口の日本酒がベースなら、梅の酸と砂糖の甘さが乗ったときに全体が締まります。用途から逆算すると、その酒の設計が見えてきます。

飲んだときは単に「辛い」と感じただけでしたが、使われ方を知って印象が変わった一本です。

醴泉のスペックを見る →岐阜の日本酒一覧

愛知

醸し人九平次

萬乗醸造愛知

人に贈るときの酒です。ワイングラスで出しました。

見た目と名前で「ちゃんとしたものを選んだ」と伝わるのが大きい。中身も期待を裏切らないので、贈り物として安心して使えます。ワイングラスに合うのも実用的で、日本酒の器がない家でも様になります。

日本酒を普段飲まない相手に渡すとき、おちょこを前提にした酒は使いにくい。九平次はそこを気にしなくていいので、選択肢として重宝しています。

醸し人九平次のスペックを見る →愛知の日本酒一覧

勲碧

勲碧酒造愛知

少し癖があります。それが好きです。

きれいに整った酒が増えているなかで、引っかかるところがある酒は記憶に残ります。癖を欠点と取るか個性と取るかは好みですが、私は後者でした。

万人向けではないと思います。ただ、無難な酒ばかり飲んでいると自分の好みが分からなくなるので、たまにこういうものを挟むと基準が定まります。

勲碧のスペックを見る →愛知の日本酒一覧

三重

而今

木屋正酒造三重

今となっては入手が難しい銘柄です。飲めたのは運が良かったと思います。

味の記憶より、入手困難になっていく過程を見てきたという感覚のほうが強い。人気が出ると価格が上がり、正規の販売店では買えなくなる。日本酒に限らず起きることですが、飲んだことがある銘柄がそうなっていくのは複雑です。

こういう銘柄は「おすすめです」と書きにくい。勧めても買えないからです。だから記録として残しておきます。

而今のスペックを見る →三重の日本酒一覧

清水清三郎商店三重

フルーティでした。而今と同じ三重ですが、こちらは比較的手に入ります。

香りの高い酒を探している人に勧めやすい一本です。伊勢志摩サミットで使われて名前が広まりましたが、その前後で味が変わったわけではありません。知名度と入手性のバランスが取れている銘柄は貴重です。

のスペックを見る →三重の日本酒一覧

奈良

風の森

油長酒造奈良

フルーティでした。開けたときの印象が強く残っています。

奈良は当サイトの集計で平均酸度1.88と全国で最も高い部類の県です。清酒発祥の地とされ、菩提酛のような古い造りを続ける蔵がある一方で、風の森のように現代的な酒も出てくる。土地の歴史と今の味が、必ずしも一本の線でつながっていないのが面白いところです。

風の森のスペックを見る →奈良の日本酒一覧

高知

桂月

土佐酒造高知

飲むうちに好きになりました。最初から刺さったわけではありません。

フルーティな方向で、高知の酒として想像していた辛口一辺倒のイメージとは違いました。同じ県でも蔵によって狙いが違う。文佳人と桂月を並べると、どちらも高知なのに性格が別です。

「県で選ぶ」のは入口としては有効ですが、そこで止まると見落とします。

桂月のスペックを見る →高知の日本酒一覧

文佳人いまいちばん好きな一本

アリサワ高知

いま挙げるなら、これがいちばん好きです。

フルーティなのに力強い、という組み合わせが理由です。香りが華やかな酒は味が軽くなりがちですが、これは芯が残る。カツオと合わせたときにその意味が分かりました。たたきの塩や薬味に対して、酒のほうが引かない。

高知は当サイトの集計でも平均日本酒度+3.38と全国屈指の辛口産地です。味の濃い魚を食べる土地の酒が、料理に負けない設計になっているのは理屈が通っています。数字を眺めていたときは「へえ」で終わっていた話が、カツオと合わせて初めて腑に落ちました。

文佳人のスペックを見る →高知の日本酒一覧

書いてみて気づいたこと

17本ぶんを書き出してみると、味そのものよりどこで飲んだかを覚えていることに気づきました。 八戸の蔵の100円の試飲、奥多摩の川沿い、宮城に単身赴任していた家族の家。 味の記憶は場所とセットで残るようです。

もう一つは、産地のイメージが当てにならないことです。 新潟の酒で酸のはっきりしたものに当たり、高知の酒でフルーティなものに当たりました。 県別の平均値はデータで見る日本酒にまとめていますが、あれは分布の中心を示しているだけで、 個々の銘柄がそこに従うわけではありません。

数字を集めているうちに、数字で分かることの限界も見えてきました。 日本酒度と酸度が同じ2本を並べても、飲めば違います。 それでも数字は選ぶときの手がかりになるので、両方を持っておくのがいいのだと思います。 読み方は日本酒度と酸度の読み方に書きました。

記録はこれからも足していきます。飲んだけれど印象を言葉にできていない銘柄がまだあるので、 整理できたものから順に追加する予定です。 掲載してほしい銘柄がある場合は銘柄リクエストから送ってください。

この記事を書いた人

メカとら人事 × DX / 日本酒好き

人事の仕事のかたわらデータ分析とDXに取り組んでいます。日本酒好きが高じて、 7,900件を超える銘柄データベースを個人で作りました。旅先の酒屋や市場で地酒を買うのが趣味です。

運営者情報X @xORMRha7Ck16551note

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒、飲酒運転はおやめください。