初心者向け

にごり酒・スパークリング・古酒|「普通の日本酒」以外の選び方

公開:2026/08/15

日本酒が苦手だという人に理由を聞くと、たいてい 「アルコールがきつい」「甘くない」「独特の匂いがだめ」のどれかが返ってきます。

面白いのは、この3つとも定番から外れた種類を選べば解決するということです。 にごり酒、スパークリング、古酒。 当サイトのデータを集計すると、これらは同じ「日本酒」という括りが疑わしくなるほど数字が違っていました。

数字で見ると、まったく別の飲み物

種類件数平均日本酒度平均酸度平均アルコール
スパークリング・発泡104−7.462.3311.7%
にごり311−3.941.8415.4%
古酒・熟成167+1.631.8316.1%
全銘柄8,014+2.261.5815.5%

全体平均が+2.26なのに対し、スパークリングは−7.46。差は約10ポイントあります。日本酒度でこれだけ離れると、 口に含んだ印象はもう別物です。

スパークリング日本酒|アルコール11.8%という軽さ

いちばん驚いたのがアルコール度数です。平均11.7%。 全体平均15.5%より4ポイント近く低く、ワイン(一般に12〜14%)の下寄りと同じ水準です。

日本酒がきついと感じる原因の多くは、この度数にあります。 ビールの3倍、ワインより高い酒を、同じペースで飲めば当然きつい。 スパークリングはそこが根本的に違います。

さらに日本酒度−7.46の甘さと、酸度2.33の酸味。 炭酸のシュワシュワと合わさって、感覚としてはスパークリングワインに近くなります。

造り方は2種類ある

ひとつは瓶内二次発酵。 瓶に詰めるときに酵母と糖を残しておき、瓶の中で発酵を続けさせて炭酸を発生させます。 シャンパンと同じ考え方で、泡がきめ細かく、開栓後も抜けにくい。

もうひとつは炭酸ガス注入。 できあがった酒に炭酸を吹き込みます。安く作れる分、泡は粗めで抜けやすい。

瓶内二次発酵のうち、酵母が生きたまま入っている「活性」タイプは開栓時に噴きます。 冷蔵庫でしっかり冷やし、栓を少し開けてはガスを逃がす、を繰り返してください。 いきなり全開にすると半分失います。

一方、発酵後に火入れしたり酵母を取り除いて安定させた製品は噴きません。 澄んだ外観を要件とする「AWA SAKE」認定品などがこれにあたります。 噴くかどうかは製法ではなく酵母が生きているかどうかで決まります。

にごり酒|甘さは飾りではなく設計

白く濁っているのは、搾るときに目の粗い布を使い、もろみ(米や麹の固形分)をあえて残しているからです。 にごりの濃さは、この目の粗さで決まります。

平均日本酒度は−3.94。全体より6ポイント以上甘い方向にあります。

ただし注意したいのは、日本酒度だけでは甘さを説明できないことです。 にごり酒には溶けきっていない米の粒子が入っていて、 これが舌に残ることで「とろみ」「濃厚さ」として感じられます。 数値以上に甘く感じるのはこのためです。

なお「どぶろく」と「にごり酒」は別物です。 酒税法上、一度でも漉していれば清酒、まったく漉していなければその他の醸造酒になります。 にごり酒は粗いながらも漉しているので清酒、どぶろくは漉していないので清酒ではありません。

活性にごりは要注意

「活性にごり」と書かれたものは、酵母が生きたまま瓶詰めされています。 瓶の中で発酵が続いているので、これも噴きます。 しかもにごり成分がある分、噴くと派手に飛び散ります。

必ず冷やして、シンクの上で、少しずつ開けてください。 購入後に横に寝かせて保管するのも避けたほうが無難です。

古酒・熟成酒|甘くないのに全体より甘く感じる

3年以上熟成させたものを一般に古酒と呼びます(法的な定義ではありません)。 琥珀色になり、紹興酒やシェリーに似た香りが出ます。

データを見ると日本酒度+1.63で、全体平均+2.26より少し甘い程度。 にごりやスパークリングのような極端さはありません。 代わりに酸度1.83と、全体より16%ほど高くなっています。

熟成中に糖とアミノ酸が反応して(メイラード反応)、色と香りが変化します。 これに加えてソトロンなどの香気成分の生成やエステルの分解も進み、 全体として複雑な甘みや苦みとして感じられるようになる。 日本酒度が示す糖の量とは別のところで、味が濃くなっていくわけです。

古酒は好みが強く分かれます。 日本酒らしいすっきり感を求める人には向きませんが、 ウイスキーやブランデーが好きな人にはかなり刺さります。 常温か、ぬる燗でゆっくり飲むのが向いています。

苦手意識別・どれを試すか

苦手な理由試すもの理由
アルコールがきついスパークリング平均11.7%。ワインに近い軽さ
甘くないのが苦手にごり酒平均−3.94。とろみも加わる
味が単調に感じる古酒酸度1.83。香りの層が厚い
とにかく飲みやすさ重視夏酒・低アルコール度数を抑えた設計のものが多い

季節限定の種類については季節で選ぶ日本酒にまとめました。 苦手意識のほぐし方そのものは日本酒が苦手だった人向けの選び方で扱っています。

まとめ

  • スパークリングは平均アルコール11.7%。日本酒がきつい人の入り口になる
  • にごりは平均日本酒度−3.94。数値以上に甘く感じるのは米の粒子のせい
  • にごり酒は漉している清酒、どぶろくは漉していないので清酒ではない
  • 古酒は甘さより酸(1.83)と香りの複雑さが特徴
  • 噴くかどうかは製法ではなく酵母が生きているか。活性タイプは冷やしてシンクの上で開ける

該当する銘柄はトップページの検索で「にごり」「スパークリング」「古酒」と入力すると一覧できます。

味わいから銘柄を探すなら、トップページの検索が便利です。香りの強さや甘辛をレーダーチャートで比べられます。

この記事を書いた人

メカとら人事 × DX / 日本酒好き

人事の仕事のかたわらデータ分析とDXに取り組んでいます。日本酒好きが高じて、 7,900件を超える銘柄データベースを個人で作りました。旅先の酒屋や市場で地酒を買うのが趣味です。

運営者情報X @xORMRha7Ck16551note